数年前、近代の抄紙方法により製造された紙を使った本が100年も経つとボロボロになってしまうとの問題提起がなされ、「酸性紙」・「中性紙」といった言葉が盛んに用いられるようになってきました。
 欧米では早くから本の保存性が注目されており、強制劣化の試験研究が数多く行われてきました。その結果、酸性紙は20〜25年経過すると茶褐色に変色し、手で軽くもんだだけでバラバラに折れ砕け、しなやかさを失うといった典型的な劣化を示します。これに対して、中性紙はややしなやかさを失い劣化は認められるものの、元のままの形を保ち、酸性紙とは劣化状態に極めて大きな差があります。

1. 紙を構成する成分による内的な劣化要因
 ここで紙のpHについて触れておきます。
7マーク 物質に含まれる水素イオンの濃度を示す指数pHは7を中性とし、それ以下を酸性、以上をアルカリ性としていますが、今日の紙の大半はpH5〜6程度の酸性を帯びています。紙を酸化から防ぐには、このpHを7、すなわち中性とする事が必要です。
 近年紙は化学薬品による中性化が可能になり、特に画材、デザイン用紙は中性紙になってきています。これらの紙は、見本帳や価格表などに右図マークや「中性紙」として表示しています。
2. 保存や使用中の状態によって決まる外的な劣化要因
● 温度による影響
・ 温度差が大きく変化すると、紙の伸び縮みが出て繊維を弱くする。
・ 額装した場合、ガラスの内面に生ずる結露現象によりインクや絵具、紙が変色破損することがある。
● 湿度による影響
・ 相対湿度が70%以上になるとカビなどの雑菌が繁殖しやすく、また、フォクシングといわれる黄変が起こる。
・ 相対湿度が30%以下になると変色したりもろくなって弾力性がなくなる。
● 光による影響
・ 紫外線
  高周波エネルギーを発し、紙を変色させ、作品の顔料や染料の色も退色させる。
・ 赤外線
幅射熱を発し、紙の伸縮に影響を与え、もろくする原因となる。
3. 絵画などで長期的に後世に残す方法
● 紙を選ぶ場合
・ 理想としてはラグ(綿ボロ)、麻、コットンが100%原料に使われている紙。
これは木材パルプから作られる紙と比較してpHが中性に保たれており、強度も強く半永久的な寿命を誇ります。
● 額装する場合
・ 作品に直接糊付けしないようにする。
・ 中性マットを使用し、額の裏ベニヤに当たる部分も厚い中性紙を当て、作品を中性紙でサンドする。
・ 裏板の隙間には、ほこり、虫除け、半真空状態にするため、水貼りテープなどで目張りすることが望ましい。
●スケッチブックの状態で保存する場合
・描いた後、完全に乾燥させてから閉じる。
・作品の間に中性の紙を挟む。
・湿気がなく外気に影響されにくい場所に保管する。
● 展示や保管をする場合
・ 温度、湿度が一定な場所。
温度摂氏15度〜24度、湿度40%〜50%が理想。
・ 日光・ライトなどが直接あたらない場所。
極力光をさけ、紫外線カット用アクリルか色つきガラスを使用する。
蛍光灯を白熱灯にし、150ワットで1m以上光源から離す。
・ 空調や外気に影響されにくい場所に置く。
・ 保管の場合は、できれば暗室にする。
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